AIに仕事を任せようとして、任せた分だけ確認の時間が増えたという経験はないでしょうか。私はあります。それも何度も。
いま、自分の会社で21の仕組みを毎日動かしています。記事を書いて公開する、録音から記録を作る、動画に付いたコメントに返信する、検索の順位を測る。48サイトのWordPressをまとめて更新してもいます。全部1人です。
そこまでやって分かったことを、先に書きます。
AIに任せられる範囲は、思っていたより狭く、そして思っていたより深い。この「狭さ」を先に決めないと、任せては戻すことを繰り返して終わります。
この21本の一覧を、資料にまとめました。動いている時刻と頻度を、そのまま書き出しています。資料「1人で毎日動かしている21の仕組み」を受け取る(無料・メールアドレスのみ)
なぜ「狭く決める」必要があるのか
理由は2つあります。どちらも、やってみるまで分かりませんでした。
理由1 確認の時間は、作業時間に足し算される
AIが出したものを、そのまま使える場面はほとんどありません。必ず見ます。その「見る時間」は、短縮された時間から引かれるのではなく、新しく足されます。
5分で書けるメールをAIに作らせて、確認に3分かかったなら、節約できたのは2分です。しかも指示を書く時間が別に要ります。ここを数えずに「AIで速くなる」と考えると、合いません。
理由2 自動で動く仕組みは、必ず止まる
止まること自体は避けられません。問題は止まったことに気づけるかです。
毎朝動くはずのものが動かなくても、画面にエラーは出ません。誰も怒りません。何事もなかったように、その日が過ぎます。これが一番こわいところです。
実際に起きたこと(3つ)
一般論ではなく、自分のところで起きたことを書きます。
① 2日間止まって、原因が分かるまで1週間かかった
2026年9月29日と30日、朝9時台に動くはずの仕組みが、2日続けて動きませんでした。
設定を疑いました。権限を疑いました。書き直しもしました。それでも動きません。「原因不明」と記録に書いて、そのままにしていました。
分かったのは10月1日です。その日の夜、朝の分が一斉に動き出しました。7時11分の予定だったものが19時42分に、9時5分の予定だったものが20時1分に。
パソコンが止まっている間、仕組みは待っていただけでした。電源を入れた時刻にまとめて放出されたのです。
「毎朝9時に動く」と決めても、9時にパソコンが動いていなければ動きません。書いてしまえば当たり前のことに、1週間気づきませんでした。
② 読んでも気づけない文字が、2回混ざった
自動で文章を作らせていると、日本語以外の文字が混ざることがあります。
実際に、カタカナの「チ」を入力するところで、キリル文字が混ざったことが2回ありました。形がほとんど同じなので、何度読み返しても気づけません。英単語が日本語の文に混ざっていたことも2回ありました。
いまは公開する前に、機械で12項目を検査しています。この検査を入れるまでは、気づかないまま公開していました。
③ 量は増えた。売上は、まだ量に釣り合っていない
ここが一番お伝えしたいところです。
| やっていること | いまの状態 |
|---|---|
| 記事を毎日1本+3本つくる | 収益はほぼ0 |
| 別サイトで週2本つくる | 8月に1,000円が1件 |
| 動画チャンネル4つを運用 | 1つが3週間で視聴20.9万回・登録者1,363人。収益9,307円 |
| 8,943ページのサイトを運用 | 問い合わせ0〜1件 |
「量を作れること」と「売れること」は、別の問題でした。私は先に量を作れる仕組みを作りましたが、作った量に対して、売上はまだ釣り合っていません。
動画は3週間で20万9千回見られました。それで収益は9,307円です。
ただし、この平均(1再生0.04円)は実力を表していません。収益化の条件を満たす前に再生された分には、収益が付かないからです。収益化のあとに公開した動画だけで見ると、2,181回で429円。1再生あたり約0.2円です。
それでも、1万円には5万回見られる必要があります。見られることと、稼げることも、また別でした。
4つの内訳を出します。いずれも同じ期間28日間の数字です。
| 視聴回数 | 登録者 | 収益 | |
|---|---|---|---|
| A | 209,458 | 1,363 | 9,307円 |
| B | 43,631 | 22 | 0 |
| C | 8,330 | 6,114 | 0 |
| D | 5,027 | 6 | 0 |
| 合計 | 266,446 | 7,505 | 9,307円 |
26万6千回見られて、9,307円です。収益化に届いているのは4つのうち1つだけ。Cは登録者が6千人いますが、それでも収益は0です。
AIの話でこの部分が語られることは、あまりないように思います。作れるようになったあとに、もう一つ壁があります。
ここで挙げた数字も含めて、うまくいっていないことをそのまま資料にしています。資料「1人で毎日動かしている21の仕組み」を受け取る(無料・メールアドレスのみ)
任せてよい作業と、任せてはいけない作業
21本を動かしてきて、線引きはだいたい決まってきました。
任せてよい作業
- 下書きを作る 資料、メール、報告書。ゼロから書き始める時間がなくなります
- 長いものを短くする 録音、問い合わせの文面、過去のやり取り
- 決まった手順を繰り返す 毎朝の数字の確認、公開前の検査。人が毎回やると忘れるものほど向いています
- ばらつきを見つける 書き方の違い、同じ理由で戻っている申請
- 言い換える 規程を読みやすい言葉に、専門用語を説明付きに
5つに共通するのは、正解が一つに決まらない作業だということです。人が最後に判断すればよいので、間違いが致命傷になりません。
任せてはいけない作業
- 計算そのもの 表計算に式を入れるほうが確実です。AIが出した数字は、合っているように見えて違うことがあります
- 制度や法令の判断 どの時点の、どの前提で書かれた答えか分かりません
- 最終的に出す判断 送る・公開する・契約する。ここを渡すと、間違いに誰も気づけなくなります
- 社内の事情が前提になる話 書かれていない経緯は、材料がないので出せません
- 短い定型のやり取り 「了解しました」を作るためにAIを開く必要はありません
2つ目については、いま実際に手を打っています。年金や社会保険を扱うチャンネルでは、AIが作った内容を社労士に確認してもらう手配を進めています。提案書を作っていただき、商工会議所を通して依頼しているところです。制度の判断は、AIにも、私にも任せません。
とくに3つ目です。最後に出す判断を渡した瞬間、止まったことにも、間違ったことにも、誰も気づけなくなります。①で2日間気づかなかったのが、まさにこれでした。
止まることを前提に組む
21本のうち、3本は「他の仕組みが動かなかった日だけ動く」ものです。
| 本体 | 拾う係 |
|---|---|
| 朝7:11 記事を作って公開する | 12:34 動かなかった日だけやり直す |
| 朝9:06 検索エンジンに登録を依頼する | 9:25 動かなかった日だけやり直す |
| 朝9:47 記事を公開して登録も依頼する | 13:07 済んでいなければ消化する |
同じことを2回やらせるのは無駄に見えます。これが一番効きました。「動かなかった日だけ拾う係」を別に用意すると、取りこぼしがほぼ消えます。
完璧に動く仕組みを作ろうとするより、動かなかったときに拾う仕組みを足すほうが、早くて確実でした。
効果の測定を、自分でやらない
もう一つ、やってよかったことがあります。
効果の測定だけを切り出して、期日を決めて自動で走らせています。「10月10日に、9月19日の改修の効果を見る」「12月26日に、9月27日に公開した5本の90日成果を見る」というふうに、やった日に測定の予定も入れてしまいます。
自分で測ると、都合よく解釈します。「効果がなかった」と書かれた報告が勝手に上がってくるので、ごまかせません。
これから始めるなら
いきなり21本を作る必要はありません。というより、作れません。私も1本ずつ増やしました。
- 1日目 渡す作業を一つ選ぶ(上の「任せてよい作業」から)
- 2日目 その作業を分解する(探す/書く/確認する)
- 3〜6日目 下書きや要約から小さく試す
- 7日目 続けるかどうかを決める
期限を7日と区切るのは、続かなかったときに「何が合わなかったか」が分かるからです。やめる判断も、7日なら軽く下せます。半年かけて広げてから合わないと気づくより、痛みが小さく済みます。
どの作業を渡せるかの整理はAIに代行させられる業務と、できない業務に、業務別の手順はどの業務からAIを使い始めるかにまとめています。
まとめ
- AIに任せられる範囲は狭く決める。確認の時間は足し算されるため
- 最後に出す判断は渡さない。渡すと、止まったことにも間違いにも気づけなくなる
- 止まることを前提に、拾う係を用意する。完璧に動く仕組みを目指すより早い
- 測定は自分でやらない。期日を決めて走らせる
- 量を作れることと、売れることは別。ここにもう一つ壁がある
最後の1つは、まだ私自身が越えられていません。越えたふりをして書くことはしません。進んだことも、進まなかったことも、そのままお伝えしていきます。
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