ホームページの更新が止まっている。SNSも半年放置している。AIを使えば毎日書けるのではないか、という相談をよく受けます。
書く作業自体は確かに速くなります。ただし量を増やすことが目的になると、たいてい失敗します。先にそこを整理してから、使い方に進みます。
量を増やしても読まれるとは限らない
AIに「〇〇について記事を書いて」と頼むと、それらしい文章がすぐ出てきます。問題は、同じことを他社も同じようにできる点です。
検索して出てくる一般的な内容をまとめた記事は、すでに数多くあります。そこに1本足しても、読む理由がありません。
検索エンジン側も、この点について見解を示しています。作り方が人かAIかではなく、読む人の役に立つ内容かどうかで評価するという立場です。AIを使ったこと自体が問題になるわけではありません。中身のない記事を量産することが問題になります。
自社にしかない材料を探す
読まれる記事とそうでない記事の差は、書き方ではなく材料にあります。自社にあって他社にないものを探してください。
| 材料 | 例 |
|---|---|
| 実際に受けた質問 | お客様から繰り返し聞かれること |
| 現場で起きた失敗 | やり直しになった原因と、その後の対策 |
| 判断の基準 | どういうときに、どちらを勧めるか |
| 数字 | 自社で実際に測ったもの(他社の数字は使わない) |
| 写真 | 作業中、施工前後、道具 |
このうち上の3つは、社内の誰かの頭の中にあります。書く時間がないのではなく、引き出す手段がなかっただけです。ここでAIが使えます。
話してもらって記事にする
現場の人に15分話してもらい、録音します。質問する人が「なぜそうするんですか」「それをしないとどうなりますか」と掘り下げると、記事1本分の材料が出ます。
現場担当者に話を聞いた録音の文字起こしです。 これをもとに、お客様向けの記事の下書きを作ってください。 【文字起こし】 (内容を貼る) 条件: ・1,500字程度 ・見出しで区切ってください ・話に出てきたことだけを書いてください ・一般論や、よくある説明を足さないでください ・数字は、話に出てきたものだけを使ってください
「一般論を足さないでください」が効きます。これがないと、AIは記事らしく見せるために、どこにでも書いてある説明を足します。その部分が、記事を他社と同じものにします。
書く前に確認すること
公開する文章には、後から問題になる要素が混ざりやすいところがあります。
- 他社との比較。根拠のない優劣の表現は、景品表示法で問題になることがあります
- 効果の断定。「〇〇が治る」「〇〇が改善します」といった表現は、業種によって規制の対象になります
- お客様の情報。事例を書く場合、掲載の許可を得ているか
- 他サイトの文章。AIが出した文章が、どこかの文章と似ることがあります
2番目は業種によって基準が大きく異なります。医療、健康食品、化粧品、美容などは、表現に細かい制限があります。該当する場合は、公開前に確認できる体制を作ってください。
SNSは別に考える
ホームページの記事とSNSでは、求められるものが違います。
| ホームページの記事 | SNS | |
|---|---|---|
| 読む人 | 探して来た人 | 流れてきた人 |
| 求められるもの | 答え | 目を止める理由 |
| 長さ | 必要なだけ | 短い方がよい |
| AIの向き | 下書きに向く | 整えすぎると逆効果 |
SNSでAIが作った文章をそのまま出すと、整いすぎていて読み飛ばされます。広告のように見えるためです。写真1枚と、短いひと言の方が反応があります。
SNSでAIが効くのは、文章を書くことよりネタを探すことです。「この記事から、SNSで短く紹介できる話題を5つ挙げてください」と頼めば、自分では思いつかない切り口が出ます。
1つの材料を使い回す
15分の聞き取りで得た材料は、1本の記事で終わらせる必要がありません。
| 出し先 | 形 |
|---|---|
| ホームページの記事 | 1,500字程度でまとめる |
| SNS | 要点を1つだけ、写真とともに |
| よくある質問のページ | 質問と答えの形に直す |
| お客様への説明資料 | 箇条書きにして印刷できる形に |
| 社内の手順書 | 作業の順に並べ替える |
同じ文字起こしを渡して、出し先ごとに書き方を指定すれば、それぞれの形が出てきます。材料を集めることが最も手間のかかる工程なので、ここを使い回すと負担が大きく変わります。
ただし、ホームページの記事を複数ページに分けて同じ内容を載せるのは避けてください。似たページが並ぶと、どれを見せるべきか検索エンジン側も判断できなくなります。出し先が違う場合はよいのですが、同じサイト内で重複させないようにしてください。
更新が続かない本当の理由
止まる原因は、書くのに時間がかかることだけではありません。
- 何を書けばいいか分からない
- 書いても反応がないので張り合いがない
- 担当が決まっていない
AIが解決するのは、書く時間の部分だけです。1つ目については、お客様から受けた質問を書き留めておくことで解決します。質問1つが記事1本になります。
2つ目については、反応をどこで測るかを決めておいてください。閲覧数だけを見ていると続きません。問い合わせのときに「何を見たか」を聞く方が、実態がつかめます。
3つ目は、頻度を決めることで解決します。毎日出す必要はありません。月に2本でも、続いていれば蓄積されます。止まったまま半年放置されているより、月2本の方がはるかに効きます。
書く頻度より、公開したものを後から直せる体制の方が大切です。古くなった記事を見つけて直す作業も、AIに「この記事で、今は事情が変わっていそうな箇所を挙げてください」と頼めば見当がつきます。料金や制度に触れている記事は、年に一度は見直してください。
まず試すなら
お客様から最近受けた質問を1つ選び、その答えを話しながら録音してください。それを記事にすれば、他社にはない1本になります。
よく来る質問の調べ方は問い合わせ対応をAIで速くする方法にまとめています。話を録音して文章にする進め方は作業手順書をAIで作る手順も同じです。
ここで扱っていない業務については、どの業務からAIを使い始めるかから探せます。議事録、見積書、メール、資料作成、問い合わせ対応など、作業別に分けてあります。
社内で進めるときの順番は中小企業のためのAI活用 はじめの一歩ガイド、始める前に確かめておくことはAI活用を始める前に確認しておきたいことにまとめています。
AIの使い方を学ぶ教材と業務で使えるツールをまとめて用意したい場合の選択肢として、当社ではライモBizをご案内しています。AI Labは合同会社SOL COMODAが運営する代理店で、本サービスの公式サイトではありません。

