会議が終わったあと、録音を聞き直しながら議事録を書く。この作業に1時間かかっているなら、AIで短くできる部分があります。
ただし、録音を渡せば議事録が出てくる、という話ではありません。AIが得意なのは文字起こしと要約で、議事録として使えるものにするには人の判断が残ります。このページでは、その境目を整理します。
議事録づくりのどこに時間がかかっているか
議事録を作る作業は、実際には4つに分かれています。どこに時間がかかっているかで、AIの効き方が変わります。
| 作業 | 中身 | AIの向き |
|---|---|---|
| 文字起こし | 話した内容を文字にする | 向いている |
| 要約 | 長い発言を短くまとめる | 向いている |
| 取捨選択 | 残す話と捨てる話を分ける | 人の判断が要る |
| 確定 | 決まったこと、次にやること、担当を書く | 人の判断が要る |
上2つは機械の作業で、下2つは会議に出ていた人にしかできません。時間がかかっているのが上2つなら、AIで短くなります。下2つで悩んでいるなら、AIを入れても時間は変わりません。
実際には、上2つで1時間、下2つで10分、という配分の会社が多いと思います。だから効きます。
AIに任せられる部分と、任せられない部分
任せられるのは、次のような作業です。
- 録音を文字に起こす
- 話し言葉を書き言葉に直す
- 話題ごとに区切って見出しをつける
- 長い議論を数行にまとめる
- 決定事項らしき発言を拾い上げる
一方、次の部分は人が見る必要があります。
- 「言ったが決まっていないこと」と「決まったこと」の区別。会議では、雑談として出た案と、合意された案が同じ調子で語られます。AIはこれを見分けられません
- 誰が担当するか。「じゃあそれで」で終わった会議の担当は、録音のどこにも入っていません
- 書かない方がよい発言。人事や取引先の評価、金額の話など、議事録に残すと後で問題になる内容があります
- 社内でしか通じない言葉。略語や商品コードは誤変換されます
このうち最も重要なのは1つ目です。議事録の目的は、記録を残すことではなく、決まったことを後から確認できるようにすることです。AIが作った要約をそのまま配ると、決まっていないことが決定事項として一人歩きします。
録音から議事録までの手順
専用のツールを入れなくても、手元にある生成AIで進められます。
1. 録音する
スマートフォンの録音アプリで足ります。会議室の真ん中に置いてください。端に置くと遠い席の声が拾えず、そこだけ文字起こしが崩れます。
録音することは、会議の冒頭で参加者に伝えてください。社外の方が同席する会議では、断りなく録音しないでください。
2. 文字起こしをする
音声ファイルを読み込めるAIなら、そのまま渡せます。読み込めない場合は、文字起こしの機能を持つツールを一度通してから、その結果をAIに渡します。
この段階の文章は、読みにくくて構いません。「えーと」「あの」が入ったままで問題ありません。
3. 整形を頼む
ここで指示の出し方が結果を分けます。「議事録にして」とだけ頼むと、当たり障りのない要約が返ってきます。次のように、項目を指定してください。
次の文字起こしから議事録を作ってください。 ・日時、参加者 ・話し合った議題(見出しで区切る) ・決まったこと ・決まらなかったこと、持ち越しになったこと ・次にやること(できれば担当と期限も) 決まったことと、意見として出ただけのことは、分けて書いてください。 担当や期限が発言に出てこない場合は「記載なし」としてください。 推測で補わないでください。
最後の2行が効きます。これを書かないと、AIは空欄を埋めようとして、言っていない担当者名や期限を作ることがあります。
4. 出てきたものを直す
会議に出ていた人が読み、次を確かめます。
- 「決まったこと」に、決まっていないものが混ざっていないか
- 固有名詞や数字が正しいか
- 残すべきでない発言が入っていないか
この確認は5分で終わります。1時間かかっていた作業が、録音を渡す時間と5分の確認に変わる、というのが現実的な見込みです。
うまく要約されないときの原因
思ったような議事録にならない場合、たいていは次のどれかです。
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 誰の発言か分からない | 声の区別がついていない | 発言の前に名前を言う運用にする |
| 専門用語が別の言葉になる | 社内用語を知らない | 用語の一覧を先に渡す |
| 要約が浅い | 指示が「まとめて」だけ | 項目を指定する |
| 言っていないことが入る | 空欄を埋めようとした | 「推測で補わない」と指示する |
| 後半が雑になる | 入力が長すぎる | 議題ごとに分けて渡す |
一番多いのは3つ目です。指示を具体的にするだけで結果が変わるので、まずそこを見直してください。
会議の内容を外部のAIに入れてよいか
これは先に決めておくべき点です。会議には、取引先の名前、見積の金額、人事の話が出ます。
確認しておきたいのは次の3点です。
- 入力した内容が学習に使われない設定になっているか。多くのサービスでは業務向けのプランや設定で学習をオフにできます。利用規約とプライバシーに関する記載を確認してください
- 取引先との契約に守秘の定めがないか。第三者のサービスに情報を渡すことが制限されている場合があります
- 社内で入れてよい情報の線引きが決まっているか
3つ目が抜けている会社が多く見られます。使い始めてから決めるのではなく、「これは入れない」という例をいくつか決めてから配ってください。人事評価、未公表の取引条件、個人情報あたりが線引きの目安になります。
専用ツールが必要になる場面
手元のAIで足りる場合が多いのですが、次に当てはまるなら専用のツールを検討する意味があります。
- 会議が週に何度もあり、録音を渡す作業自体が手間になっている
- オンライン会議が中心で、自動で録音・文字起こしまで済ませたい
- 発言者ごとに分けた記録が要る(議事録を正式な記録として残す必要がある場合)
- 過去の議事録をまとめて検索したい
逆に、会議が週1回程度で、議事録が社内共有のためのものであれば、専用ツールを入れる前に手元のAIで試してみてください。月々の費用が増えないまま解決することがあります。
まず試すなら
次の会議を1つ録音して、上の手順を一度通してみてください。うまくいかなければ、原因は表のどれかに当てはまるはずです。
議事録に限らず、日々の作業のどこにAIが効くかを先に整理したい場合は、中小企業のためのAI活用 はじめの一歩ガイドとAI活用を始める前に確認しておきたいことをご覧ください。
同じように録音から起こす作業として、作業手順書をAIで作る手順があります。日々の記録をまとめる作業は日報と週報をAIで短時間で書く方法にまとめています。
ここで扱っていない業務については、どの業務からAIを使い始めるかから探せます。議事録、見積書、メール、資料作成、問い合わせ対応など、作業別に分けてあります。
また、AIの使い方を学ぶ教材と業務で使えるツールをまとめて用意したい場合の選択肢として、当社ではライモBizをご案内しています。AI Labは合同会社SOL COMODAが運営する代理店で、本サービスの公式サイトではありません。料金と利用条件は料金のページで確認できます。

