日報に毎日20分かかっている。週報のために日報を読み返すのに1時間かかる。どちらもAIで短くできますが、その前に考えておきたいことがあります。
日報をAIに書かせると、読む価値のない文章が量産されることがあります。先にこの落とし穴を押さえてから、手順に進みます。
AIで日報を書くと起きること
「今日はA社を訪問した」というメモをAIに渡すと、次のような文章が返ってきます。
本日はA社様を訪問し、現状のご状況についてヒアリングを行いました。 今後も継続的にコミュニケーションを取りながら、関係構築に努めてまいります。
形は整っています。しかし、元のメモより情報が増えていません。むしろ「関係構築に努めてまいります」という、誰も確認できない一文が足されました。
これが積み重なると、読む側は日報を開かなくなります。書く時間は短くなったが、日報の意味がなくなった、という結果になりかねません。
AIを使う前に、日報に何を書かせたいのかを決めてください。文章を整えることが目的なら、そもそも日報は箇条書きでよいはずです。
日報の目的を分けて考える
| 目的 | 本当に必要なもの | AIの使いどころ |
|---|---|---|
| 上司が状況を把握する | 事実と、困っていること | 整形は不要。箇条書きで足りる |
| 本人が1日を振り返る | 書く行為そのもの | AIに書かせると意味がなくなる |
| 後から記録を探す | 検索できる形 | 過去分の要約・集計に向く |
| 顧客とのやり取りを残す | 日時、相手、決まったこと | メモから項目を整える用途に向く |
上2つが目的なら、AIより先に書式を簡単にする方が効きます。「今日やったこと/困っていること/明日やること」の3行だけにすれば、20分かかっていた日報は5分で終わります。
AIが効くのは下2つ、つまり記録を後から使う場面です。
メモから日報を起こす
外回りが多く、移動中にメモを取っている場合は、AIで整える意味があります。
次のメモから日報を作ってください。 【メモ】 (音声入力やメモ帳の内容を貼る) 【書式】 ・訪問先と時間 ・話した内容(事実のみ) ・相手から出た要望や懸念 ・次にやること メモに書かれていないことを足さないでください。 感想や決意を表す文は入れないでください。
最後の2行が、冒頭で挙げた問題への対処です。これを入れるだけで、「努めてまいります」の類が消えます。
移動中に音声で吹き込んでおき、事務所に戻ってからまとめて処理する、という使い方が現実的です。運転中の操作は避けてください。
週報は日報から作る
こちらはAIが最も効く使い方です。1週間分の日報をまとめて渡し、要約させます。
1週間分の日報です。週報にまとめてください。 【日報】 (5日分を貼る) 【まとめ方】 ・進んだこと ・止まっていること、その理由 ・来週に持ち越すこと ・複数の日報に繰り返し出てくる話題 件数や金額は、日報に書かれている数字だけを使ってください。 合計や平均を自分で計算しないでください。
最後の指示を入れる理由は、AIが計算を間違えることがあるためです。数字の集計は表計算ソフトに任せ、AIには文章の整理だけをさせてください。
「繰り返し出てくる話題」を挙げさせるのが、この使い方の価値です。同じ問題が3日続けて日報に出ていることに、書いている本人は気づいていません。週単位で見ると浮かび上がります。
過去の日報をまとめて見直す
日報が溜まっているが誰も読み返していない、という状態なら、一度まとめて処理してみる価値があります。
- 3か月分を渡して「繰り返し出てくる困りごとを挙げてください」と頼む
- 「お客様から出た要望を一覧にしてください」と頼む
- 「対応が止まったまま終わっている案件を挙げてください」と頼む
3つ目で、忘れられていた案件が見つかることがあります。日報は書くときより、後からまとめて読むときに価値が出ます。その読む作業を、AIが代われます。
ただし、出てきた一覧は人が確認してください。AIは日報に書かれていない案件を作り出すことはありませんが、日付や金額を取り違えることはあります。
AIを入れる前に書式を見直す
日報に時間がかかっている原因が、書式そのものにある場合があります。項目が多すぎる日報は、埋めるだけで時間が過ぎます。
いまの日報の項目を並べて、次の観点で削ってください。
- 読んだ人が何かをする項目か。読まれるだけで終わる項目は、なくても困りません
- 他の場所にある情報ではないか。売上や訪問件数が別のシステムに入っているなら、日報に書き写す必要はありません
- 毎日変わる項目か。同じことしか書かれない欄は、月に一度で足ります
この作業自体もAIに手伝わせられます。過去1か月分の日報を渡して、「毎回ほぼ同じ内容しか書かれていない項目を挙げてください」と頼むと、形骸化している欄が出てきます。
項目を減らしてから、残った部分にAIを使う。この順番だと効果がはっきりします。書式が悪いまま自動化すると、意味のない文章を速く作るだけになります。
日報に書かれる情報の扱い
日報には、お客様の社名、担当者名、商談中の金額、社内の人間関係が書かれています。外部のサービスに貼り付ける前に、次を確認してください。
- 入力した内容が学習に使われない設定になっているか(利用規約とデータの取り扱いに関する記載を確認する)
- 社員の評価に関わる記述を含む場合、その扱いについて社内で合意があるか
- お客様との契約に、情報の取り扱いを定めた条項がないか
2つ目は見落とされがちです。日報には「Aさんの対応が遅い」といった記述が入ることがあります。これを外部のサービスに渡すことについて、社内で説明できる状態にしておいてください。
まず試すなら
今週分の日報を5日分まとめて、週報を作らせてみてください。日報を1日分書かせるより、こちらの方が効果を感じやすいはずです。
同じように、記録をまとめる作業として会議の議事録もあります。書類を作る作業では見積書と提案書の下書き、日々のやり取りではメール返信の下書きをまとめています。
ここで扱っていない業務については、どの業務からAIを使い始めるかから探せます。議事録、見積書、メール、資料作成、問い合わせ対応など、作業別に分けてあります。
社内で進めるときの順番は中小企業のためのAI活用 はじめの一歩ガイド、始める前に確かめておくことはAI活用を始める前に確認しておきたいことにまとめています。
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