見積書を作るとき、金額を決めるより、作業内容の欄を書くほうに時間がかかっていませんか。前に似た案件があったはずだと思いながら、過去の見積を探しています。
見積書の作成そのものはシステムが速くしました。残っているのは、何と書くかを決める作業です。ここはAIで軽くできます。
本記事は見積・請求サービスの提供元による公式情報ではありません。機能や仕様については提供元の公式サイトでご確認ください。ここでは、見積書をクラウドで作っている会社の進め方について書いています。
見積書で時間がかかるのは金額ではない
金額は、原価と過去の実績から決まることがほとんどです。迷うのは別の場所にあります。
| 迷う場所 | 中身 |
|---|---|
| 作業内容の書き方 | どこまで細かく分けるか |
| 含まれない作業の書き方 | 後で揉めないように、どう伝えるか |
| 条件・但し書き | 有効期限、支払条件、追加費用の扱い |
| 送るときの文面 | 金額の説明をどこまで添えるか |
4つとも言葉の問題です。システムの入力欄は用意されていますが、中身は人が考えています。
作業内容の書き方を、過去の見積から決める
受注できた見積が、その会社で通る書き方の見本になっています。
過去に受注できた見積書の品目欄です。 【内容】 (品目名と作業内容の欄だけを貼る。金額と取引先名は不要) 次を出してください。 ・作業の分け方のパターンを分類してください ・同じ作業なのに、書き方が違っているものを挙げてください ・お客様が読んだときに、何の作業か分かりにくいものを挙げてください 貼った内容にない品目を作らないでください。
出てきた分類から、よく使う品目の定型を作ります。次からはそこから選んで、案件ごとの違いだけを書き換えます。
「一式」と書きたくなったとき
作業が多いと、まとめて「一式」と書きたくなります。手は速くなりますが、後で「これは含まれているのか」という確認が発生します。
やろうとしている作業を箇条書きでAIに渡し、「これをお客様が読んで分かる品目に分けてください。作業の重複と、どこにも入っていない作業があれば指摘してください」と頼みます。
分けたうえで「一式」とまとめるかは、その場の判断で構いません。分けずにまとめるのと、分けたうえでまとめるのは違います。後者なら、聞かれたときにすぐ答えられます。
含まれない作業を、角を立てずに書く
見積で揉めるのは、多くの場合「含まれていると思っていた」という食い違いです。書いていなかったほうが不利になります。
含まれない作業の一覧をAIに渡して、「見積書の但し書きとして、断定的にならない言い方に整えてください」と頼みます。「〜は含まれません」を並べると冷たく見えますが、「〜が必要な場合は、別途お見積りいたします」なら同じことを伝えられます。
過去に追加費用でやり取りになった案件があれば、そのときの経緯も渡してください。次から先に書いておく項目が見えてきます。
見積を送るときの文面
見積書そのものより、添えるメールの文面に時間をかけている人が多くいます。金額の理由をどこまで書くか、いつまでに返事がほしいと書くか、迷う場所です。
打ち合わせのメモと見積の内容を渡して、「お客様が知りたいであろう点を、3つ挙げてください」と聞くと、書くべきことが絞れます。多くの場合、金額そのものではなく「なぜこの構成なのか」「いつ始められるか」「変更できるか」です。
文面を作らせる場合も、打ち合わせで話していない条件を足さないでくださいと指示してください。AIは自然な文章にしようとして、納期や割引の話を勝手に補うことがあります。
断られた見積を見返す
受注できた見積は見本になりますが、断られた見積にも同じだけ情報があります。ただし、見返す習慣がある会社は多くありません。
受注できたものと、できなかったものを分けてAIに渡し、「書き方や構成の違いを挙げてください」と頼みます。金額の差だけでなく、作業内容の細かさや、条件の書き方の違いが出てくることがあります。
ただし、断られた理由は見積書だけでは分かりません。出てきた違いは仮説として扱い、思い当たる案件を自分で見直してください。AIは文面の差を見ているだけで、そのときの競合や予算までは知りません。
金額はAIに決めさせない
見積金額をAIに出させないでください。AIが出した金額には、自社の原価も、人の手配の状況も、その取引先との経緯も入っていません。
使えるのは、すでに決まっている基準を整理する作業です。過去の見積から「同じような作業にいくらを付けてきたか」の一覧を作らせ、ばらつきを見つけるところまでです。そこから先は人が決めます。
計算にも使わないでください。数量と単価の掛け算は、見積システムの機能が正確です。
見積のデータを外部のAIに入れてよいか
見積書には、取引先名、金額、原価の考え方、これから始まる案件の内容が含まれます。自社の値付けがそのまま入っている書類です。
- 入力した内容が学習に使われない設定になっているか(利用規約とデータの取り扱いに関する記載を確認する)
- 取引先名と金額は外して渡す。文面の分析なら、それで成立します
- お客様と秘密保持の取り決めがある案件は、内容を渡さない
- まだ公表されていない案件の情報が含まれていないか
品目の書き方を調べるだけなら、金額の列を削って渡せば足ります。
システム側の機能で足りるかを先に見る
AIを足す前に、使っているサービスに同じ機能がないか確認してください。品目の登録、過去の見積からの複製、見積から請求書への変換といった仕組みが用意されていることがあります。
システム側でできるなら、その方が確実です。金額が連動しますし、転記の間違いが起きません。どんな機能があるかは、提供元の公式サイトやヘルプでご確認ください。
AIを使うのは、登録する品目の中身を決める部分と、送るときの文面です。
まず試すなら
受注できた見積の品目欄を10件ほど、金額と取引先名を外して渡してみてください。書き方のばらつきが出てきます。よく使う品目を定型にしておけば、次の見積から探す時間がなくなります。
見積の作り方全般は見積書の作成をAIで早くする方法、送付後のやり取りはメール返信の下書きをAIに任せる手順にまとめています。ほかの業務はどの業務からAIを使い始めるかから探せます。
社内で進めるときの順番は中小企業のためのAI活用 はじめの一歩ガイド、始める前に確かめておくことはAI活用を始める前に確認しておきたいことにまとめています。
AIの使い方を学ぶ教材と業務で使えるツールをまとめて用意したい場合の選択肢として、当社ではライモBizをご案内しています。AI Labは合同会社SOL COMODAが運営する代理店で、本サービスの公式サイトではありません。
