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AI導入の効果をどう確かめるか

導入の効果を測る|時間以外で見る方法

AIを導入したが、効果があったのか分からない。契約を続けるべきか判断できない。半年ほど使った会社から出てくる相談です。

効果が見えない原因は、測り方を決めずに始めたことにあります。何を見ればよいかを整理します。

目次

時間の削減は測りにくい

最初に思いつくのが「何時間短くなったか」ですが、これは測るのが難しい指標です。

理由は、導入前に何時間かかっていたかを、誰も正確に把握していないことです。「議事録に1時間くらい」という感覚はあっても、記録は残っていません。比べる相手がないまま、削減時間だけを出しても意味がありません。

もう一つ、浮いた時間の行き先が見えないという問題もあります。1日30分浮いても、その30分で何をしたかが分からなければ、経営としての効果は測れません。

それでも時間で測りたい場合は、導入前に1〜2週間、実際にかかった時間を記録してください。この手間を惜しむと、後から比べられません。

見えやすい変化から見る

小さな会社では、時間より次のような変化の方が確かめやすくなります。

見る場所具体例
残業月末の締め作業の残業時間
外注これまで外に出していた作業を社内でできたか
滞留後回しになっていた作業が片づいたか
品質書類の差し戻しや修正の回数
できごとこれまで作れなかった資料が作れたか

3番目と5番目が、実は最も価値のある変化です。時間がなくてできなかったことが、できるようになった。これは削減ではなく、新しくできたことです。

手順書がなかった作業に手順書ができた、止まっていたホームページの更新が再開した、といった変化は、時間では表せませんが、確かな成果です。

使っている人に聞く

数字より確かなのが、この方法です。月に一度、使っている人に3つだけ聞いてください。

  • 今月、これは助かったという作業はありましたか
  • 使ってみたが、合わなかった作業はありましたか
  • 困っていることはありますか

1つ目が出てくるなら、効果は出ています。2つ目も重要な情報です。合わない作業が分かれば、他の人が無駄な時間を使わずに済みます。

3つ目で「使い方が分からない」という声が出るなら、効果が出ていないのではなく、伝え方の問題です。社員にAIを覚えてもらう進め方をご覧ください。

効果が出ていないときの見方

3か月使っても何も変わらない場合、原因は3つのどれかです。

原因見分け方対処
使われていない使用状況を確認する使い方を一緒に試す
使う場面がない業務に文章作業が少ない対象の業務を見直す
使い方が合っていない指示の出し方が雑うまくいった指示文を共有する

最も多いのは1番目です。契約しただけで、誰も日常的に触っていない状態です。この場合、ツールを変えても解決しません。

2番目であれば、無理に使う必要はありません。現場作業が中心の会社では、事務部門に絞って使う方が合理的です。

浮いた時間の行き先を決める

効果が実感されない理由として、意外に多いのがこれです。時間は浮いているのに、その時間が何に使われたか誰も把握していない状態です。

導入する前に、「この作業が短くなったら、その時間で何をするか」を決めておいてください。訪問を1件増やす、後回しにしていた整理をする、早く帰る。何でも構いませんが、決めておくことに意味があります。

決めていないと、浮いた時間は他の雑務で埋まります。忙しさは変わらないまま、効果を感じられない、という結果になります。実際には短縮できているのに、そう見えません。

なお、削減した時間をすべて別の業務で埋めると、社員の側には負担が増えたように映ります。一部は余裕として残す方が、続けて使ってもらえます。

数字で示す必要がある場合

社内で説明する必要がある、あるいは次の投資を判断する材料にしたい場合は、数字が要ります。その場合も、大きな仕組みは不要です。

対象の作業を3つまでに絞り、それぞれについて「導入前にかかっていた時間」と「いまかかっている時間」を、実測で比べてください。全業務を測ろうとすると、測ること自体が負担になって続きません。

測るときは、同じ人が、同じ種類の作業で比べてください。担当者が違えば元の所要時間も違います。作業の内容が違えば比べる意味がありません。

出てきた数字を全社に当てはめて大きな効果額を出す、といったことは避けてください。実際に測った範囲だけを、そのまま示す方が信用されます。

やめる判断も持っておく

効果を測る目的は、続けるか見直すかを判断するためです。判断の基準を、始めるときに決めておいてください。

たとえば「3か月後に、助かったという作業が1つも出てこなければ、使い方を見直す」といった形です。基準がないと、なんとなく契約が続きます。

見直す際は、やめる前に使い方を変えてみてください。多くの場合、道具の問題ではなく、対象にした業務か、教え方の問題です。

記録を残しておく

効果を測るために、大がかりな仕組みは要りません。次の程度で足ります。

  • 導入前に、対象の作業にかかっていた時間をメモしておく
  • 月に一度、使っている人に3つの質問をして、答えを書き留める
  • うまくいった使い方を、指示文とともに残す

この記録は、担当者が変わったときにも役立ちます。何を試して何が合わなかったかが分かれば、新しい担当者が同じ道をたどらずに済みます。

3つ目は効果測定であると同時に、社内の資産になります。誰かが見つけた使い方が、他の人の時間も短くします。

まず始めるなら

これから導入するのであれば、対象にする作業を決めて、いまかかっている時間を1週間記録してください。この記録が、後から効果を判断する材料になります。

すでに使っている場合は、今月から3つの質問を始めてください。数字がなくても、判断はできます。導入がうまくいかない場合の原因については、使い方の問題か、対象にした業務の問題かを切り分けることから始めてください。

ここで扱っていない業務については、どの業務からAIを使い始めるかから探せます。議事録、見積書、メール、資料作成、問い合わせ対応など、作業別に分けてあります。

社内で進めるときの順番は中小企業のためのAI活用 はじめの一歩ガイド、始める前に確かめておくことはAI活用を始める前に確認しておきたいことにまとめています。

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