問い合わせの電話やメールに、毎日1〜2時間取られている。しかも聞かれる内容の大半は、同じような質問。中小企業では珍しくない状態です。
この作業はAIで短くできますが、チャットボットを入れることから始めない方がうまくいきます。順を追って説明します。
まず何を聞かれているかを調べる
対応を速くする前に、何が来ているかを知る必要があります。ここからAIが使えます。
過去3か月に届いた問い合わせメールです。 【内容】 (メールをまとめて貼る) 次を出してください。 ・よく来る質問を、件数の多い順に15個 ・それぞれ、何件あったか ・同じことを聞いているが言い方が違うものは、まとめてください 件数は、貼った内容にあるものだけを数えてください。
この一覧を見ると、多くの場合上位5つで全体の半分以上を占めます。この5つに手を打つだけで、対応時間は目に見えて減ります。
上位に来る質問の中には、「ホームページに書いてあるのに見つけられていない」ものが混ざっています。これは対応を速くする問題ではなく、サイトの書き方を直す問題です。
問い合わせを3つに分ける
| 種類 | 中身 | 対処 |
|---|---|---|
| 調べれば分かる | 営業時間、料金、場所、手続きの方法 | サイトに書く。返信は定型文で足りる |
| 状況によって変わる | 納期、在庫、こちらの対応可否 | 下書きをAIに作らせ、人が数字を入れる |
| 判断が要る | クレーム、条件の交渉、例外の依頼 | 人が対応する。AIは使わない |
1番目が多いなら、AIより先にサイトを直してください。問い合わせが来る前に減らす方が、返信を速くするより効きます。
3番目にAIを使うと、たいてい問題が大きくなります。感情がこじれている相手への文面を機械が作ると、細かい言い回しが噛み合いません。
よくある質問のページを作る
調べた上位15件をもとに、サイトに載せる文章を作ります。
次の質問について、お客様向けの回答文を作ってください。 【質問】〇〇 【実際の回答内容】(社内で使っている説明をそのまま貼る) 条件: ・150字程度 ・条件付きの場合は、その条件を先に書いてください ・例外がある場合は「詳しくはお問い合わせください」で締めてください ・貼った内容にないことを書かないでください
「条件を先に書く」が重要です。「できます」と書いてから条件を並べると、条件を読まない人が出ます。「〇〇の場合はできます」と書けば、当てはまらない人は読み進めません。
できた文章は、公開前に社内で確認してください。とくに料金、期間、対応範囲に関わるものは、そのまま約束として扱われます。
返信の下書きを作る
問い合わせが届いたら、その本文と、社内の回答方針をAIに渡して下書きを作らせます。
このとき、回答の材料になる資料を一緒に渡すのが要点です。料金表、対応範囲の一覧、過去の似た問い合わせへの回答。これらがないと、AIは一般論を書きます。
渡した資料に答えがない場合は「資料に記載がありません」と書かせてください。そうしないと、それらしい回答を作ります。問い合わせへの回答でこれが起きると、後から取り消せません。
チャットボットを入れる前に
自動で回答するしくみを入れたくなりますが、先に確認したい点があります。
- 間違った回答をしたときの責任。機械が答えた内容も、会社の回答として扱われます
- 回答の元になる資料が整っているか。資料が古いままだと、古い情報を自動で配り続けることになります
- 人につながる出口があるか。解決しない人が電話をかけ直すなら、手間は増えています
2番目が抜けている例が多く見られます。しくみを入れる前に、回答の元になる資料を整える作業が要ります。そしてその作業こそ、AIで短くできる部分です。
電話の問い合わせを減らす
メールと違い、電話は記録が残りません。まず何を聞かれているかを知るところから始めます。
1か月間、電話を受けた人に「用件を一言だけ」メモしてもらいます。それをまとめてAIに渡し、分類させます。手書きのメモを撮影して読み取らせる方法もあります。
多い用件が分かったら、その答えをサイトの分かりやすい場所に置きます。電話が減る効果は、サイトのどこに置くかで変わります。問い合わせページの奥ではなく、トップページから1回で行ける場所にしてください。
対応の記録を残す
問い合わせ対応で後から困るのが、「前に何と答えたか」が残っていないことです。担当者が変わると、違う回答をしてしまいます。
記録を残す作業が負担になって続かないなら、形を簡単にしてください。日時、相手、聞かれたこと、答えたこと。この4項目だけで足ります。
電話の場合は、対応しながらメモを取り、終わってから音声で吹き込む方法があります。それをAIで4項目に整えれば、1件あたり1分で済みます。
記録が溜まったら、月に一度まとめて見直してください。「同じ質問が増えている」「回答が担当者によって違う」といった傾向は、まとめて読まないと見えません。この読む作業をAIに任せられます。
お客様の情報を外部のAIに入れてよいか
問い合わせには、氏名、連絡先、購入履歴、体調や家庭の事情が書かれていることもあります。外部のサービスに貼り付ける前に、次を確認してください。
- 入力した内容が学習に使われない設定になっているか(利用規約とデータの取り扱いに関する記載を確認する)
- 個人情報を含む問い合わせを扱う場合の社内ルールが決まっているか
- プライバシーポリシーの記載と、実際の扱いが食い違っていないか
3番目は見落とされがちです。「お客様の情報を第三者に提供しません」と書いているなら、外部サービスへの入力が該当しないかを確認してください。判断に迷う場合は、氏名と連絡先を消してから渡す運用にしてください。
まず試すなら
過去3か月の問い合わせメールをまとめて、よく来る質問を挙げさせてみてください。これは1回で終わる作業で、結果は長く使えます。
返信の文面そのものについてはメール返信の下書きをAIに任せる手順にまとめています。対応の手順を残す話は作業手順書をAIで作る手順をご覧ください。
ここで扱っていない業務については、どの業務からAIを使い始めるかから探せます。議事録、見積書、メール、資料作成、問い合わせ対応など、作業別に分けてあります。
社内で進めるときの順番は中小企業のためのAI活用 はじめの一歩ガイド、始める前に確かめておくことはAI活用を始める前に確認しておきたいことにまとめています。
AIの使い方を学ぶ教材と業務で使えるツールをまとめて用意したい場合の選択肢として、当社ではライモBizをご案内しています。AI Labは合同会社SOL COMODAが運営する代理店で、本サービスの公式サイトではありません。

