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AIに任せてはいけない業務

任せてはいけない業務|判断と責任に関わる部分

AIで効率化できる作業は多くありますが、任せてはいけない業務もあります。技術的にできるかどうかではなく、任せるべきでないという線があります。

この線を先に引いておくと、現場で迷わずに済みます。順に見ていきます。

目次

人の評価に関わること

人事評価、昇給の判断、賞与の査定。これらをAIに決めさせることは避けてください。

理由は2つあります。1つは、評価された本人に説明できなくなること。なぜその評価になったのかを問われたとき、「AIがそう出した」では納得を得られません。評価は、説明できる形でなければ機能しません。

もう1つは、元になるデータの偏りがそのまま出ること。過去の評価データを学習させれば、過去の偏りを引き継ぎます。特定の属性の人が低く評価されてきた履歴があれば、それが再現されます。

評価の文章を整える、評価項目の案を出させる、といった補助的な使い方は構いません。判断そのものを渡さないでください。

採用の合否

応募書類をAIに読ませて、合否を判断させることも避けてください。

評価と同じ問題に加えて、応募者の個人情報の扱いという論点があります。履歴書や職務経歴書は、採用選考のために提出されたものです。外部のサービスに入力することは、想定されていない利用にあたる可能性があります。

なお、求人票の文章を作る、面接で聞く項目を整理するといった、応募者の情報を扱わない範囲であれば問題ありません。詳しくは求人票の文章をAIで見直す手順にまとめています。

専門資格が必要な判断

法律、税務、医療、建築の構造計算など、資格を持つ人が行うと定められている判断があります。

分野AIで調べる判断する
契約の条文の意味平易な言葉に直す用途なら可弁護士
経費や勘定科目整理の下ごしらえなら可税理士
労務の手続き何を調べるかの見当づけなら可社会保険労務士
健康や症状調べる入り口としても慎重に医師

AIの答えは、法令の改正に追いついていないことがあります。また、その事案特有の事情を知りません。調べる入り口として使い、判断は資格のある人に仰いでください。

相手の感情が関わる場面

謝罪、クレームへの対応、取引先との条件交渉、社員との面談。これらは人が向き合う場面です。

技術的には、それらしい文面を作らせることができます。しかし、経緯を知らないAIが作った文面は、細かいところで噛み合いません。相手が何に怒っているのかを取り違えた謝罪は、火に油を注ぎます。

謝罪については、文面より先に、何が起きたのかを整理する必要があります。その整理にAIを使うのは構いません。経緯のメモを渡して「時系列に整理してください」と頼めば、事実関係が見やすくなります。その上で、文面は人が書いてください。

最終的な数字

見積の金額、請求額、在庫数、給与計算。これらをAIに計算させないでください。

生成AIは計算を間違えることがあり、しかも間違いに気づきません。計算式を作らせて、計算はソフトにさせるという使い方であれば問題ありません。詳しくはエクセルの作業をAIで短くする方法をご覧ください。

とくに注意したいのが、社外に出る数字です。お客様に提示した金額が間違っていた場合、後から訂正するのは簡単ではありません。

安全に関わること

機械の操作手順、危険物の取り扱い、食品の衛生管理など、間違いが事故につながる領域です。

AIに手順書の下書きを作らせること自体は可能です。ただし、その内容を確認せずに現場に配ることは避けてください。AIは、その機械の個体差や、現場の実際の配置を知りません。

法令で定められた手順がある場合は、その条文や指針と照らし合わせてください。AIが出した内容が、法令の要求を満たしているとは限りません。

他社から預かったもの

見落とされやすいのがこれです。自社の情報については社内で判断できますが、取引先から預かった資料は、勝手に外部へ渡せません。

図面、仕様書、顧客名簿、製品の設計情報。これらを受け取るとき、多くの場合は秘密保持の取り決めがあります。取り決めがなくても、商慣習として外に出さないことが前提になっています。

「要約したいだけ」「翻訳したいだけ」であっても、外部のサービスに入力する時点で、第三者に渡したことになる可能性があります。業務の必要があるなら、取引先に確認してください。確認しにくい場合は、使わない判断をしてください。

この点は、社内のルールに明記しておくと迷いが減ります。「他社から受け取った資料は入力しない」の一行で足ります。

線引きを一覧にしておく

ここまで挙げた内容を、社内で共有できる形にしておいてください。難しく書く必要はありません。

  • 人の評価、採用の合否は、AIに決めさせない
  • 法律、税務、医療の判断は、資格のある人に聞く
  • 謝罪と交渉の文面は、人が書く
  • 社外に出る数字は、AIに計算させない
  • 安全に関わる手順は、確認してから配る

これに加えて、他社から預かった資料を入力しない旨も書いておいてください。合わせて6行です。

この一覧を、社内のルールに書き加えておけば足ります。禁止する項目を細かく増やすより、この程度に絞った方が読まれ、守られます。

できることの方が多い

ここまで避けるべき領域を挙げましたが、日常の業務の大半は、この線の外側にあります。文章の下書き、記録の整理、書類の確認、調べものの下ごしらえ。これらは安心して任せられます。

避けるべき業務を知っておくことは、使わないためではなく、それ以外を安心して使うためです。線が引かれていないと、何をしても不安が残ります。避けるべき領域は限られていて、しかもその多くは「判断」と「責任」に関わる部分です。手を動かす作業のほとんどは、任せて構いません。

実際の使い方は、会議の議事録、メール返信の下書き、作業手順書など、作業ごとにまとめています。間違いへの備えはAIが間違えることへの備え方をご覧ください。

ここで扱っていない業務については、どの業務からAIを使い始めるかから探せます。議事録、見積書、メール、資料作成、問い合わせ対応など、作業別に分けてあります。

社内で進めるときの順番は中小企業のためのAI活用 はじめの一歩ガイド、始める前に確かめておくことはAI活用を始める前に確認しておきたいことにまとめています。

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